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うつ病の治療期間はどれくらい?

2016/08/24 うつ病と会社
この記事は約 6 分で読めます。
図書館

カウンセリングをしていると「うつ病の治療期間はどれくらいですか?」とよく聞かれます。

「一般的に言われていること」と「治療効果がある答え方」をご紹介します。

うつ病の治療期間の一般論

まずはうつ病になってしまってから回復するまでにかかる一般的に言われている期間についてご紹介します。一般的にというのは投薬の状況、家族や仲間の有無、性格などさまざまな要因によって実際の治療期間には10倍以上の差が出るからです。

うつ病:治療の過程とそれぞれの期間

うつ病の回復の過程は大きく3段階に分けられます。

急性期(治療開始から1〜3ヶ月)

うつ病の診断を受けて、十分に休養できる状況で薬物治療を開始した場合で1〜3ヶ月程度で症状が軽快してきます。治療に使われる薬の種類や量によっても効果が現れるまでの期間は異なりますし、休養できないような状況ではなかなか改善しないこともあります。人によっては半年以上の期間が必要な人もいます。

回復期(治療開始から4〜6ヶ月)

回復期に入ると調子が良い日と悪い日を行ったり来たりするようになります。もし、投薬治療を受けている状態で一進一退が始まったら、薬を松葉杖のように使っている状況ですから医師に相談することなく薬をやめてしまうことは避けてください。薬をやめてしまったせいでうつ病の症状が悪化し、治療期間が長くなってしまいます。

この回復期は社会復帰・職場復帰に向けて活動量を増やしていく時期でもあります。少しずつ、無理をしないようにリズムを整えていくのが一般的です。6ヶ月程度の期間で復職ができる人もいますのでそのあたりを目安にうつ病の治療期間とまずは考えることもできそうです。

復職プログラム体験談(図書館通い)

産業医に復職について相談をしたところ、毎日図書館に通って活動量を増やすように言われました。ちょっと待ってください!元気な人なら何の用事もないのにモチベーションを保って、1ヶ月も2ヶ月も通い続けられますか?周囲の視線。図書館の職員の視線を感じながら、近所の小さな図書館に通い続けるのは職場に通うよりもつらいかもしれません。図書館通いを進める医師はたくさんいますが、2ヶ月もの期間、通い続けられるのかと思います。「活動量」といえば確かにそうですが、心の問題を抱えている人に出す指示にしては心ない指示だと感じました。(50歳 IT関連企業 男性)

再発予防期(治療開始から1〜2年)

うつ病の症状が安定してきて、職場復帰できてからもしばらくは再発予防が必要な期間になります。うつ病は再発しやすい病気です。また、薬をいきなりやめることもできませんので、徐々に自力で安定して生活ができるようになるために1〜2年の期間が必要です。

治療抵抗性うつ病

上記の治療期間でうつ病が回復してこない場合には「治療抵抗性うつ病」と呼ばれます。十分な量の抗うつ薬を十分な期間服用していても症状が良くならないうつ病に対しての呼び名です。「治療抵抗性うつ病」の原因はわかっていないとされていますが、一般的な方法では私のうつ病には効果がないと思っている人が多いのも事実です。

日本うつ病学会によるうつ病の回復率は?

うつ病が寛解するまでの期間

日本うつ病学会の発表によると1〜3ヶ月以内に回復している人の割合が70〜80%とされています。その情報が正しければ、3ヶ月以内に社会復帰できる程度に回復している人がほとんどだと言えます。しかし、うつ病の人の実態を見ていると治療期間が3ヶ月以内というのはかなり早いようにも思えます。

うつ病当事者と治療者の壁

うつ病患者だった時に感じたのは薬を出すだけで治せないと感じた病院にはいかなくなります。それを病院はどのように数えているのでしょうか?うつ病当事者の感覚として、病院に通わなくなったから寛解ではなく、その多くは諦めたり、転院したりしています。当事者の感覚としては平均して3〜5年ではないかと感じます。(40代 うつ病当事者会主催 男性)

治療効果がある答え方

では一線で活躍しているカウンセラーはどのように答えているのでしょうか?

質問の意図を汲み取る

うつ病の人にとってつらいことの一つが「出口が見えない」「いつまで頑張れば良いのかわからない」ということがあります。だからこそ「うつ病の治療期間は?」と質問するのです。しかし、うつ病は残念なことに「心」の問題です。この質問に対する治療者の答え次第で症状を軽減したり、悪化させたりしてしまうのです。

治療期間は「1年ですよ」

もしそんな答え方をされたらうつ病患者はどうなるでしょうか?「当面、1年間はすべてのことを諦めて治療に専念しなくてはいけないんだな」と思い込んでしまうのではないでしょうか?少なくとも「明日良くなる」という希望は完全に捨ててしまいます。

「いつだったら最高だなと思いますか?」

もし、カウンセラーが「うつ病の治療期間は?」の問いに「いつまでだったら最高だなと思いますか?」と返したらどうなるでしょうか?9割がたの患者さんはその瞬間に一瞬表情が緩みます。それは出口を想像してしまうからです。「そっか、自分で決められるとしたらクリスマスの前がいいかな!」本当は「今日にでも」と言いたい気持ちを抑えて、自分なりに現実的だと思える期間を多くの患者さんは答えます。そして、その治療期間満了の日の翌日のことを考え始めるのです。うつ病の終わりの日を誰かに決めてもらおうというのがすでにうつ病の症状に侵されている状態です。主体性を失い、誰かに、、何かに頼りたい気持ちになってしまっているのです。一般に「良くなろう」と思わない人はには効果が出ないとか、「主体性がない」人には効果が出ないと言い訳のように言う治療者がいますが、もしそれが事実だとしたら、どうやったら「良くなりたい」と思ってもらえるか?「自分が決める」と思ってもらえるかを工夫するのが治療者の役割と言えます。

この場合のうつ病の治療期間は平均2ヶ月

「うつ病の治療期間の終わりがいつだったら良いと思いますか?」の問いの答えは1ヶ月から2ヶ月後です。1年後と答える人はいません。80年しかない大切な人生を誰が1年も棒に振りたいと思うでしょうか?現実はうつ病患者さんの思うようにいかないこともあります。それでも、2ヶ月と期限を切って、うつ病最後の日をありありと思い描いて、前に進んでいる人が半年悩むということはまずありません。

大事なのはうつ病の優先順位が2位になること

さらに大事なことは、うつ病にとりつかれたようになっていて、うつ病のことばかりを考えていた人がうつ病最後の日を考えるようになって、うつ病の優先順位が2位以下になると「楽しい毎日が来るならうつ病があってもなくてもいいや」という気分になります。うつ病の治療において、これほど重大な気持ちの変化はありません。うつ病はうつ病に固執しなくなってしばらくすると居心地が悪くなっていなくなってしまうのです。

 

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