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メンタルヘルス対策をしたほうがいいワケ

2016/09/19 企業におけるメンタルヘルス
この記事は約 7 分で読めます。
Specialists

企業におけるうつ病対策が急務

企業の中において、うつ病等の精神疾患が発症してしまった場合、以前までは特に責任は問われているケースは多くはありませんでしたが、今後は社会的な認知度もあがってきたため、責任問題を問われてしまう可能性が増加してきました。また、責任は問われないとしても、労働力の低下やメンタルヘルス不全者へのフォローなどに追われてしまう可能性もあり、企業にとって悪いことはあってもよいことはほとんどありません。
そのため、企業としてメンタルヘルス対策が課題となり、ストレスチェックが義務化されたのは記憶に新しいことでしょう。

うつ病ってどんなもの?

それでは、精神疾患の中で最も有名なうつ病とは一体どんな病気なのでしょうか。うつ病の体験談とともにみていきましょう。

社会全体にどれくらいの数がいるのか

まず、社会の中にどれだけ精神疾患の方が増えてきているのでしょうか。
1999年には45万人だったうつ病は2005年には約二倍の92万人、2010年では推計で250万人(予備軍は3000万人)と報告されています。高齢者の数が約3300万人で全人口の3割を超えてきていることからその数の多さがわかるのではないでしょうか。すれ違う人の3人に一人くらいの割合で何かしらの課題を抱えています。ひょっとしたら、あなたもそのうちの一人かもしれない。そのくらいの数の多さです。

うつ病の兆候

ひょっとしたら、あなたも当てはまっているかもしれないという事実を踏まえて、うつ病の兆候をみていきましょう。

① 楽しみや喜びを感じない

通常なら楽しかったようなことでも、楽しみや喜びを感じなくなります。何をしていても憂うつな気分を感じてしまいます。

② 何か良いことが起きても気分が晴れない

きっかけとなった出来事や要因が解決したり、自分にとって良いことが起こっても、気分が晴れない状態が続いてしまいます。

③ 趣味や好きなことが楽しめない

健康な状態であれば、嫌な気分のときに大好きな趣味のテニスで思いっきり汗を流したりすることで、気分が晴れたりするものです。うつ病になっていると楽しめないどころか、疲労感ばかりが増してしまいます。

うつ病はこうした症状が2週間以上継続する状態をいいます。早い時点で自覚できれば、発症を未然に防げる可能性も高くなります。ただ、こうしたうつ病を代表とするメンタルヘルス疾患は生活習慣病にもたいへん類似しており、日々生活をしている中で、なかなか自覚しにくいという難しい点があるのも確かです。

(http://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/002.html 厚生労働省 心の耳より抜粋)
こういった兆候はあくまでも事例の一つにしかすぎません。表面的には元気そうに見えていても、毎日死ぬことを考えているなんていう人もいます。あまり表面的な感覚に左右されず冷静に対応するのがよいでしょう。

うつ病の原因は精神的なストレスだけではない

そして、うつ病の原因と言われているストレスに関しても精神的な負荷によるストレスだけではないことも頭に入れておくとよいでしょう。
1.身体的なストレス(身長、筋肉量、体力等)
2.環境のストレス(暑い・寒い・くさいなど)
3.栄養不足などの科学的なストレス(食事内容・薬品による副作用等)
このようにちょっと嫌だなと感じることはすべてストレスの原因であるともいうことができます。恐ろしいのは、食べ物や環境による知らず知らずのうちにたまっていくストレスが蓄積していって表面的な原因に気づかず罹患してしまうことです。

どうして企業でメンタルヘルス対策をしなければならないのか

では、どうして企業で個人的な問題と思われるメンタルヘルス対策をしなければならないのでしょうか。それは大きく分けて、法律の問題と企業のリスクヘッジの問題があげられるでしょう。

労働安全衛生法

労働安全衛生法という法律があります。この法律は、労働者が安全かつ健康に働けるようにしましょうという法律です。そして、この法律の中にメンタルヘルスに対する項目が以下のようにあります。

  • 労災防止の為の最適基準の守り、労働者の安全と健康を確保する
  • 安全衛生の水準向上の為、快適な職場環境を作るよう努力する
  • 労働者の生命等の安全確保をしつつ、必要な配慮を行う

こうした項目がありますが、先にあげたように個人の問題、うちの会社には関係がないという意識があるので、対策ができていないのが現状です。しかし、三人に一人とも言える勢いで精神疾患予備軍が増えている世の中において、関係がないとは果たして言えるのでしょうか。

 自殺の可能性

自殺者が年間2万人います。その背後には自殺を失敗した人もいます。すべての自殺の原因が精神疾患と企業にあるとは言いませんが、もし、あなたの会社に責任があると言われてしまった場合、その賠償金は非常に多額になります。また、ネットでその情報が広まってしまい、企業イメージが著しく低下していくことが免れないのは、ブラック企業等の問題でご存知の方もいるでしょう。そうした際のリスクというのは、精神疾患の原因を企業にあるとする風潮が増加していく中で、どんどん増えていくことは避けられないでしょう。

自殺予防の十箇条

以下のように最悪のケースを避けられる予防策もあるので念頭においておくとよいでしょう。

・うつ病の症状に気をつける
・原因不明の身体の不調が長引く
・酒量が増す
・安全や健康が保てない
・仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする、職を失う
・職場や家庭でサポートが得られない
・本人にとって価値あるものを失う
・重症の身体の病気にかかる
・自殺を口にする
・自殺未遂に及ぶ
出典:職場における自殺の予防と対応(中央労働災害防止協会 健康確保推進部 メンタルヘルス推進センター 2008.09)

うつ病の体験談

日頃、聞く事のできないうつ病を発症してしまった方の体験談をご紹介するので、ご参考にしてみてください。

採用されたのは、ゴールデンウィーク明けの5月初旬のこと。

市立の総合病院の受付に配属されました。
そこでは、一人立ちまでは1ヶ月かかる場所でした。
ところが、2週間で仕事を覚えるように言われ、覚えると次から次へと他部署の仕事まで覚えることになりました。
8時半から18時まで、みっちりスケジュールが組まれ、15分刻みで8部門掛け持ちさせられるようになりました。

私にとっては大事な仕事なので、完結させたいので
『申し訳ありませんが、15分では仕事が完結出来ないのでもう少し1部門で仕事をする時間を長くさせていただけないでしょうか?』
と、上司に尋ねると
『無理です。今のままお願いします。気に入らなければ、すぐに辞めて構いません。私達は、あなたのような立場の人は重要視していないですから。そんなこと言うのであれば、今日は1日シュレッダーかけをやって!』
と、言われてしまいました。

仕事が完結しないと、その部署の人にも迷惑がかかってしまう。
急いで仕事をする、だけど…失敗が重なる。
もう、どうしようもない状態でした。

結局、最終的にはうつ病を発症してしまい、辞めざるを得ない状態になりました。

最後に上司に言われた
『あなたの代わりはいくらでもいるから』
という言葉が、私という存在を元から消し去りました。

悪化させる前に外部のメンタルヘルス対策機関を利用しよう

会社の中だけで、メンタルヘルス対策を真剣に行うというのは非常に大変でもあり、効果の出しているメンタルヘルス対策の数も多くないのが実情であるとも言えるでしょう。そうはいっても、やはり、一度専門の機関に対策の案を相談してみるのがリスクヘッジをする上でも、メンタルヘルス対策にかける時間を減らす意味でも効果が大きいでしょう。

  1. 厚生労働省管轄のサポートセンター
  2. 医療機関
  3. 民間の専門機関

まとめ

メンタルヘルス対策はあちこちでいろんなことが言われており、一人一人の理解を得られていないというのが現状です。しかし、守るべきは労働者であり、会社の売上であるとも言えるでしょう。その両方を安全に守っていくという意味でもメンタルヘルス対策というのを一度、考えてみるのがよいでしょう。

参考

http://nekobashi-chiro.com/html/kensyu.html

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