カウンセラーが会社にいたほうがいい3つの理由
このページの目次
1.メンタルヘルスケア対策の要としてのカウンセラー
メンタルヘルスケア対策では、早期発見早期解決が肝心とされています。しかし、目に見えて、落ち込んでいて、数週間、数ヶ月も落ち込んでいる人であれば対応はわかりやすいかもしれませんが、実際には外見は元気そうに見えて愚痴もこぼさないような人が突然、ぱったりといなくなってしまうのがメンタル不調者の怖いところでもあります。ましてや、ちょっと悩んでいるくらいの人であっても放っておくと、不安障害、パニック障害、ひいてはうつ病などに発展していきかねないのが現状です。
メンタル不調者の早期発見
そのため、ちょっと悩んだくらいであっても、相談しやすい土壌があればメンタルの不調を早期発見できることができます。さらに、ふさぎがちになる前に、深刻なこころの病への予防という意味においてもその効果を発揮します。
問題の早期解決が可能
一般的に治療をするのは医師による投薬が基本となっておりますが、治療が必要なレベルになる前での問題解決というのはカウンセラーの仕事になります。もちろん、医師による投薬に加えて、カウンセラーによる相談という治療スタイルも増えつつあるので、治療的な面においても効果は期待できるでしょう。
何より、早期解決というのは、本人にとっても会社にとっても一番負担がすくない対処になります。解決思考を取り組ませることのできるカウンセラーであれば、なお一層の早期解決が見込めていくことでしょう。
利害のない第三者の必要性
産業カウンセラーや担当医を常駐させている会社もありますが、その内実は人事部と上司に筒抜けで、結局、評価を下げられてしまったりすることもあります。そもそも、相談しに行っているところを見られてしまうことですら、あらぬ噂がたってしまうということも考えられます。そのため、連携はとっているが、基本的には第三者としての立場にあるカウンセラーの存在が社員にとっては安心して相談できるのではないでしょうか。
2.働きやすい会社は元気な会社
働きやすい会社
1)職場の雰囲気がよいこと
2)活気があること
3)公正な評価基準があること、特に企業規模が小さくなると同族優先となりがちであるため実力主義で登用する仕組みであること
4)社員教育が充実していること
5)福利厚生面で一般的なものが揃っていること
6)企業としてのビジョンが明確であり正しく伝えていること
7)戦略が明確であり将来性が感じられること
中小企業のメンタルヘルスケアに産業カウンセラーはいかに関わるか」についての調査研究より引用
働きやすい会社として、条件にあげられるものは以上のようなものがあります。ここまでのことをクリアしている会社は比較的多いかとも思いますし、こうした企業を目指している企業も多いことでしょう。しかし、社員にとって働きやすいだけでは経営者にとっては厳しいですし、ましてや売上が伸びていくことが会社としての使命でもあるのでそうは甘くいえません。では、このギャップをどのようにして埋めたらよいのでしょうか。次に元気に働ける会社の条件をご覧いただきましょう。
元気に働ける会社
1)前例がない・正解がない問題を自律的に乗り越える行動ができる
2)自律意識を持つ(自己理解・他者理解・組織理解・お客様理解をしてセルフコントロールができる)
3)常にモチベーション・やる気を持って仕事に取り組み周りに影響を与える
4)自分の強みを知り育てる・専門力を育てるなど
中小企業のメンタルヘルスケアに産業カウンセラーはいかに関わるか」についての調査研究より引用
以上が元気に働ける会社の条件としてあげられているものです。働きやすくて、元気に働ける会社、そんな会社が本当にいい会社だということが言えます。ただ、こうしたことを制度的に実現することは可能であっても、行動レベルで社員一人ひとりにその意識をもたせるのは非常に難しいことともいえます。こうしたときこそカウンセラーの出番です。
カウンセラーというのは、人の悩みを聞いてあげることが仕事と思われていますが、課題を解決してあげるところまでが仕事ということもできます。つまり、社員本人にとっての課題がなく、制度的に問題がない会社であれば、働きやすく、元気に働ける会社ということになります。その社員の「課題」の部分をカウンセラーに任せて、会社としては制度づくりに取り組む。社員が一人課題解決ができればそのノウハウを蓄積していくことも可能です。そうして、会社の発展と社員のメンタルヘルス対策を両方兼ね備えることができる可能性があるのがカウンセラーです。
3.第三の選択肢としてのピアカウンセラー
ピアカウンセラーとは
定義的には、障害を持った人が自分と同じ障害を持つ人のために活動する人というような意味があります。ここでは、精神的な病気にかかったことがあり、精神的な病気の人のために動ける人、またはその予防促進ができる人という存在として扱うこととします。
つまり、同じ悩みを持つ人同士というのは非常に親近感が強いので、そういう人がいてくれるというだけで心強い存在になります。
悩みにくい制度づくりのヒント
一度、うつ病や不安障害などの精神的な病気を抱えている経験があるので、悩みにはまりやすいポイントというのに非常に敏感です。元気になっているのは今だけで、今後またそういった病気が再発してしまうかもしれないという恐れもあるからです。しかし、結局、そういった悩みにはまりやすいポイントをそのままにしておくと、社員が一人ずつメンタル不全を引き起こしていって、どれだけ対策をしていてもイタチごっこになってしまいます。そうした堂々めぐりを解消するという意味においてもピアカウンセラーの視点というのは非常に重要といえます。
こまった人材こそ、いい人材?
一般的にうつ病やパニック障害などの病にかかったことのある社員というのは困った存在ではあります。しかし、同じような悩みを持つ人を増やさないための存在という意味で見ると非常にいい存在でもあります。
どうやって病気から克服できたのか、どんなふうにして会社と折り合いをつかせたのか、こういった話というのは知識以上に感情の共有が必要にもなることです。社内にメンタル不調者を出さない、予防させられる、早期発見、早期解決が可能になるという意味においては非常にいい人材といえる可能性もあることを検討してみるとよいでしょう。