どうしてあの部下は言うことを聞いてくれないのか
部下の無意識な反抗
上下関係ではパワーバランスや価値観に差があるので、職場の人間関係の中でも特に気をつけたい項目のうちの一つです。メンタルヘルスケアの中においても、上司の話を一方的に聞いているのがツライという話も多いです。
ひょっとしたら、部下の方から反論をきちんとすればまだ話をして解決に向かっていけるので少し部下の話を聞いてあげればよいでしょう。
しかし、実は本人も無意識に上司や上の人のいうことを嫌がって、無意識に言われたことをやらなかったり、遅らせたりする傾向がある人がいます。
上の人から言われたことは黙ってやらないといけないという価値観の中で育ってきてはいるものの、黙ってやっていくことに適応できない人がいます。そんな人が上の人などから少し攻撃的な指示を受けると、頭と心がわかれてしまっているので、本人も知らず知らずのうちに反発してしまうことがあります。
それが受動攻撃性パーソナリティ障害と言われる性質の人です。個人的なストレス反応としては納得できるものではありますが、それが会社の中でどんどん増えていってしまうというのも考えものです。
受動攻撃性パーソナリティ障害
障害と名前がついているので、違和感がある方もいるかもしれません。病気だからと納得して優しく接することができればいいですが、実際は相当な苦労を強いられるので、なかなかそうはいかない実情もあるかと思います。
こうした特性のある人というのは自分の考えとは違った指示を受け入れることができません。もっというと、受け入れていないということを本人は意識できていません。知らず知らずのうちに、仕事を遅くしてしまったり、変な妨害行為をしてしまいます。
受動攻撃というのがこの言葉にしない反抗にあらわれています。この特性は特に強いストレスが溜まっているときに起きるので、もしかしたら、職場内のストレスが原因というわけではない可能性もあります。
部下の気持ちを聞く
やはり、こうした部下への対応策もきちんと考えを聞いてあげることにつきます。
これはメンタルヘルスケアではやはり避けては通れない対応の一つです。きちんと聞くということも最初はなかなか難しいと思います。そういうときは、指示やアドバイスではなく、本人にどうしたらいいと思っているのかを聞くことです。「考えを聞く」というのは言葉ではなんとなくわかりますが、いざ行動に移そうとするとどうしても自分の意見を言いたくなってしまいます。
そんなときは、あらかじめ、指示をする前にこうやって相手の考えを聞いてみようという台本のようなものを作って対応するのがよいです。そして、部下が何を言ってきても、「そうか」と一度受け入れてから、「私は○○のようにしてくれると嬉しい」というようなIメッセージと呼ばれる私は嬉しい、悲しいという言葉の使い方をすると、相手は指示や命令をされたような気がしにくいので、受動攻撃性パーソナリティ障害の特性は現れにくくなります。
また、このような会話の方法はコーチングなどでも使われている技術の一つでもあり、部下のやる気を引き出す良い方法の一つともされています。
メンタルヘルスケアとモチベーションアップは一見、分野が違う物事のようにも見えますが、人の心を良い方に導くという観点から考えてみるとこの2つにそこまでの差はありません。
働きやすい人にとってはより働き安い、ちょっと働きづらいと感じている人が働きやすいそんな環境づくりを目指していいくのが、メンタルヘルスケアとモチベーションアップの両方を兼ね備えたよいやり方になるでしょう。