うつ病の家族への愛ある接し方
うつ病は自尊心や人間関係にも非常に密接に関わる心の病です。だからこそ、近くにいる家族の接し方がうつ病の回復を助けることも妨げることもできるのです。大切な人が再び笑顔になれるようにこのページの情報を参考にしてください!
このページの目次
うつ病がひどい時
家族にはこんな接し方をして欲しい
家族がうつ病になると他の家族もどのような接し方をして良いか戸惑うものです。今までは通じ合っていた気持ちが通じなくなる。どうやって接したら良いかわからないから余計に接し方がおかしくなる。生の声を交えながら、家族がどんな接し方をしたら良いのかをまとめました。
「大丈夫だから」と言い切って欲しい
うつ病の当事者は「いつ良くなるのかわからない」という漠然とした不安を抱えながら、「迷惑だと思われているんじゃないかな?」と周囲にも気を使っています。やや強めの表現で「大丈夫だから」と言ってもらえるとそれが気持ちの支えになります。うつ病は身体の病と違って、気持ちの持ちようでその後の症状が変わってきます。「何でそうなった?」と問い詰めたり「いつよくなるんだ?」と聞いたところで症状を悪化させるだけです。それならば、「大丈夫だと私が保証する」というくらいの強い言い方で「大丈夫だから」と言ってあげるのはうつ病で悩んでいる人の支えになります。
うつ病の人が家族にして欲しいこと
「動けないからってあなたの価値が減るわけじゃなし、ゆっくりしていなさい、大丈夫だから心配するんじゃない、不安な事があるなら良ければ聞くよ」というような言葉は気持ちが楽になると思います。またして欲しい行為はどこか静かに休める部屋に露天風呂があるような自然の中の温泉やキャビンを借り切って連れて行って欲しいです。癒される場所が良いと思います。(30代 うつ病経験者 女性)
やはりうつ病は気分が落ちる病気ですし、明確な症状が出ない分焦る気持ちが強いと思うので「ゆっくり治していけばいい。大丈夫だから!」と言い切ってもらえたら気持ちも楽になると思います。私の未来が大丈夫かどうかは神様しかわからないけれど、嘘でも良いから「大丈夫!」と言い切って欲しい。あとは一緒に気晴らしに付き合ってもらったりしたら嬉しくなると思います。(40代 うつ病経験者 男性)
本人は頑張った末に望まないうつ病に罹患してしまったのですから、頑張りが足りないとか力不足だとか言われるのは一番堪えます。せめて、家族にはうつ病を罹患した背景を把握してほしい。そして、その上で「大丈夫!」と言ってもらえたら近い将来元気になれる気がしてきます。(20代 うつ病経験者 女性)
自分のペースを大事にしてもらえるとよい
うつ病は本人でも戸惑うくらいコンディションの浮き沈みがあります。さっきまではやる気だったのに急にできない気持ちになることも良くあります。家族は「出来たらやる」「無理になっちゃったらしょうがない」というような接し方をするとうつ病の人の負担が少なくなります。逆にうつ病の家族の気持ちを理解せずに強制したり責めることはやめてください。
うつ病の人が家族にして欲しいこと
特別患者扱いはせず、積極的に絡まず、少し離れたところから見守っていて欲しい。うつ病の人にとって、強制されたり、過度に患者扱いされるのは、症状の悪化を招きやすい。コンディションが良い時には話しかけられる空気を作ってもらえると救われる。(50代 うつ病経験者 男性)
「頑張って」って言っちゃいけないのようなマニュアル的な対応をやめてほしい。「頑張って」って言ってほしい時と言わないでほしい時があって、タイミングさえ合えば「頑張って」って応援してほしい。わがままなようだけれど自分でも戸惑ってしまうこのペースを理解するかタイミングをこちらに任せてほしい。(30代 うつ病経験者 男性)
うつ病の人の実話を聞きに行ってほしい
うつ病の人はせめて家族にその気持ちを理解してほしいと願っています。しかし、家族に直接聞かれると話しにくいこともあるし、話をしているうちに気分が落ちてしまいます。できれば、過去にうつ病経験がある家族以外の人に話を聞きに行くと良いと思います。「今、夫は家でこんな様子なんですけれど・・」と状況を説明すれば、うつ病経験がある人ならば「きっと、こういう気持ちなんだと思いますよ」と本人の気持ちを教えてくれます。うつ病経験がない人にとってはびっくりするような解釈であることも多いので、家族以外の話を聞きに行くのは非常に有効です。
うつ病がひどい時こんな接し方はやめて!
「家族にこんな接し方をされたらつらい」とうつ病の人が口々に言う言動があります。うつ病の人の家族は症状を悪化させたり、本人を傷つけてしまう接し方を極力避けるように心がけてください。
わかったつもりで強要されるとつらい
本で読んだ知識やテレビで見た知識はうつ病のある側面でしかありません。どこかで聞きかじってきた知識で対応しようとするとうつ病の家族は酷く傷つきます。「うつ病」を調べてほしいのではなく、「わたし」を見てほしいと感じるからです。
うつ病の人が家族に言われたくないこと
○ヶ月休んだら、体は回復するから、しっかりと仕事をしなさい。○○は、うつ病の回復にとても良い食材だから、しっかりと食べなさい。うつ病の人にとって、周囲から強制されることは、症状の悪化を招きやすいため、厳に慎むべきだと思います。そして、そういう情報は99%外れています。余計なお世話です。(50代 うつ病経験者 男性)
できないことを責められたら居場所がなくなる
うつ病の人はやらなくてはいけないこと、迷惑をかけていることは理解しています。それをあえて言語化して、伝えられると居場所がなくなってしまいます。また、自分なりに最善を尽くしているのに急かされたり、誰かと比較されることもつらいことです。唯一の居場所である自宅が針の筵になってしまったら地球上に回復できる場所がなくなってしまいます。実際にそれが理由で入院をする人も少なくありません。
うつ病の人が家族に言われたくないこと
病は気から、穀潰し、いつになったら働くの?、誰々ちゃんは立派になって、働かざるもの食うべからず、うつ病は甘えだ、考え過ぎなんだよ、サボってないで何か手伝えなど追い詰める言葉は症状を悪化させます。あとはやたら親戚や来客を呼んだり、うつ病の家族の事をヒソヒソ話で相談する行為なども当人が傷ついてしまい症状が悪化してしまいます。うつ病の時には家族が想像している以上にグルグルとその出来事を気にしますから、きっかけになるような出来事を最小限にしてほしいです。(40代 うつ病経験者 男性)
一生懸命に頑張っているので、自分を否定するような言葉をいわれるとうつ病がより悪化しそうです。例えば「どうして出来ないの」とか「よその家はああなのに…」とかは精神的に辛いものがあると思います。誰よりも焦っているのは自分なのに!って思っちゃいそうです。(20代 うつ病経験者 女性)
忘れないでほしい家族の側の気持ち
うつ病の当事者がつらい思いをしているからこそ、家族はそれを表に出せません。悪意があったわけでもない言動に落ち込まれ、気を使って疲れてしまう家族も少なくありません。ここからは家族はこんな気持ちで見守っているという切り口でまとめました。
祈るしかない!本当は代わってあげたい!
見守る家族は自分が当事者だったらどんなに楽かと思っていることも少なくありません。苦しんでいる大切な人を見ているよりも自分が苦しい方がマシだと思うからです。悲しいことにこの鬼気迫る思いすらうつ病のことで頭がいっぱいになっている当事者には伝わらないこともあるのです。
うつ病の人に家族がしてあげられること
うつ病の家族のことを強く心配し、何とか快方に向かってほしいという、鬼気迫り希望に懸ける気持ちで見守っていると思う。特に、うつ病になったことのない家族の場合、うつ病の人の心を理解できないため、何とか回復してほしいと祈るしかない。代わってあげたいと願う気持ちで見守る家族も多いと思う。(60代 うつ病の家族 女性)
目に見えるお金や生活のサポート
精神的なサポートはうつ病経験やカウンセリング経験がない人にとっては難しいことです。だからこそ目に見えて、実益が出る生活面でのサポートをしようとするご家族も多いです。
うつ病の人に家族がしてあげれること
金銭面と生活面のサポート。すぐに学業や仕事に復帰するのは難しく、治るまで金銭面や生活面のサポートを全面的に行う意思を伝えることだと思う。そして、そっと見守ること。干渉されることが、うつ病患者には大きなダメージになる。(50代 うつ病の家族 男性)
諦めずに理解しようという気持ちで接する
たとえ内容が間違っていたとしても家族が諦めずに努力してくれている様子にうつ病の人は勇気付けられます。愛情を感じるのです。逆に「これくらいできるだろう」とうつ病の人が思うような安易な関わり方をしてしまうと信頼を失い、愛情がないんだと決めつけられてしまうこともあります。
うつ病の人に家族がしてあげられること
いくら家族でも、同じ病気になった事のない人には、本当の辛さや苦しみは分りません。しかし、家族だからこそ出来るし、やらなければならないと思う事は、その病気についてよく勉強し理解を深めて、根気強く見守り、必要ならば病院の診察なども一緒に行く等して、寄り添う事だと思います。(40代 うつ病の家族 女性)