パワハラ、セクハラとメンタルヘルスケア

三菱電機が書類送検
電通に続きとうとう、三菱電機までが労災認定により書類送検されることになりました。
社会が精神疾患を労災認定しようとする流れになってきているように感じます。まだ労災認定される基準は比較的高めに設定されてはいますが、労働基準監督署のさじ加減ひとつ次第でそのボーダーは左右されることでしょう。
労災認定要件
現在、セクシャルハラスメントによる精神障害の労災認定要件は以下のようになっています。
- 認定基準の対称となる精神障害を発病していること
- 精神障害の発病前おおむね6ヶ月間に、業務による強い心理的負荷が認められること
- 業務以外の心理的負荷や個体側要因により精神障害を発病したとは認められないこと
参照)http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/panphlet.pdf
現在の労災認定では、二番目の要件が割と厳しめに設定されており、セクハラの例を取ってみてもその基準の高さは伺えます。
本人の意思に反して、性的な行為を共用されたり、わいせつ行為をされた場合は心理的負荷の評価が「強」と認められ、労災認定を受けます。
これはもはやハラスメントというレベルを超えて刑事事件として訴えられるほどの事案といえるでしょう。なぜか、公共の場で行うと一発で逮捕されてしまうようなことでも、企業の中だとハラスメントという枠組みになってしまいます。(もちろん、ここまでのことが起きれば会社として、警察などの対応はあるとは思いますが)
実際には、ここまでの行為がなくてもその手前の行為プラス長時間労働で「強」という判定になります。
労災認定≒犯罪?
そして、今回三菱電機の件で労災認定を受けたということは、セクシャルハラスメントに応じて考えるとほぼ犯罪手前の行為にプラスして、報道されているように長時間労働があったということになります。
上司からは厳しい叱責が飛んだ。「お前の研究者生命を終わらせるのは簡単だ」「言われたことしかできないのか。じゃあ、おまえは俺が死ねと言ったら死ぬのか」
http://www.sankei.com/life/news/170111/lif1701110034-n1.html
こういった言葉はパワハラになりますが、冷静に考えてみるとこれを外で知らない人に言っていたら人の人格を傷つけているのに等しいともとれるのでかなりまずいことがわかると思います。
さきほども、申し上げたとおり路上だと逮捕されるのに、なぜか会社の中だと悪いことという認定を受けないのです。
きちんと考えたい業務上でのリスク
怒鳴り声を上げること自体が100%悪だということではありませんが、それに加えて口が悪いとこのように労災認定を受けて書類送検なんていうことがこれから次第に増えていくことが予想されます。
社内で対処できればよいかもしれませんが、書類送検されるレベルのことをそのままにしておくというのは業務上のリスクを考えても、人道的に考えても危険な時代が来ています。
そして、パワハラが横行している職場というのは社員のモチベーションも脅迫的な気持ちで動いているので高くありません。人格否定レベルで怒られるからやっている仕事とともに協力してやっている仕事であれば当然、協力し合って行っている仕事のほうが生産性も高いです。
改めて考えるメンタルヘルスケアの必要性
メンタルヘルスケアと言ってしまうとパワハラ被害者を助けるみたいな印象に聞こえてしまいがちですが、きちんとメンタルヘルスケアを行うと社内の生産性はとても上がります。
それは社員一人ひとりのモチベーションが上がり、きちんと仕事に向き合うことが出来るからです。そこに気持ちの強さも弱さもありません。
ましてや、パワハラ、セクハラで書類送検なんていうリスクはほぼなくなります。
パワハラガイドライン、セクハラガイドラインというように一つ一つのガイドラインを作るのも悪くはありませんが、社員一人ひとりを大事にするという意味のガイドライン作りこそがメンタルヘルスケアであり、セクハラ、パワハラを防ぐことにつながるのではないでしょうか。