採用時にうつ病歴って聞いてもいいの？

2017/01/25 企業におけるメンタルヘルスピアカウンセラー養成講座
この記事は約 4 分で読めます。

このページの目次

1 採用時にうつ病歴って聞いてもいいの？
2 誰もが元気に働ける会社作り

採用時にうつ病歴って聞いてもいいの？

うつ病などのメンタルヘルスの病気の人が増加してきているのはご存知のことでしょう。そのことにより中途採用の市場にも、一度、前の会社でうつ病になってから改めて転職活動をしている人も自然と増えています。
そんな時にお互い気になるのがメンタルヘルス系の病気の有無を話してもいいのかいけないのかです。求職者からすると、前職を辞めた理由をうつ病やパニック障害などの病気が原因ということにしたらそれを理由に断られないだろうか、変な目で見られないだろうかというところが気になります。
反対に、採用側からすると、うつ病の再発率などを知っていたり、再発のリスクを考えたりするとまた同じことになってしまわないだろうかということが気になります。しかし、病歴の有無を採用面接の際に話していいのかどうかというのはコンプライアンス的に非常に難しい問題と言えます。

面接時にうつ病などの病歴を「聞いてもよい」

結論から言うと、法律的には病気の経験を聞くことは採用の自由という観点から認められています。そのため、病気を理由に業務に差し支えると判断して採用を見送るということも可能です。
しかし、法律の整備がある分野もあり、性別や信条等を理由に採用を見送ることは禁止されています。また、障害者雇用の義務という法律も存在していることも見逃せません。
その一方で、一般的には病気を理由に採用を見送るということが良いこととされるかどうかは非常に難しい問題です。ただでさえ、デリケートな人材である可能性があり、あの会社は病気を理由に断ってきたんだということをネットに書き込まれてしまうというようなリスクも存在します。プライベートなことを質問するのと同じことと判断されることもあり、道義的にはあまり好ましくないという判断が無難でしょう。

ウソをついているかの調査も「してもいい」

こちらも結論から言うと、病歴を偽っていないかどうかを調査してもよいことにはなっています。しかし、こちらは法律的に認められているとはいえ、個人的な病気を調べるというのはどういう評価を受けるのかというリスクに関しては非常に危険と言えるでしょう。

内定取り消しは「やってはいけない」

最後に、うつ病やパニック障害などのメンタルヘルスの病気を秘密にしたままの内定者がいた場合、その病気を理由に内定を取り消すことはしてはいけません。内定を取り消すことが出来るのは、名前を偽っていた、経歴に大きな違いがあるなどのよほどの重大事項の場合のみとされています。
ただし、運転手や医師などとても技術的に高度なで安全性が求められる職種の場合であれば、職務上の事由として内定取り消しをすることが許されています。
しかし、内定から勤務までの間に内定者が働けないほどの状態になっていれば、業務を履行することができないと判断して内定を取り消すことも可能です。

誰もが元気に働ける会社作り

社会問題としてメンタルヘルスが問題になるということは日本全体の問題として職場が働くということに対して歪が生じてきていることの証明であるともいえます。以前より、人が弱くなってきたと言っていては、誰もが健康に働ける会社作りはできません。うつ病などの経験者が増えてきているということは逆に会社の中を改めて見直すチャンスともいえます。うつ病経験者だからこそ見える世の中のニーズというものもこれから非常に増えてくることでしょう。一見、リスクに見えるということ自体に改めて考え直すきっかけがあるということを意識して、もう一度社内の雰囲気などを見直してみてはいかがでしょうか。