女性のメンタルヘルスケア対策を急がなくちゃいけないワケ
近年、ストレス社会と言われ続けてきた日本社会において、うつ病やパニック障害などの精神疾患患者が増加していることが社会問題になりつつあります。そのため、企業においてもメンタルヘルスケア対策はストレスチェック制度に始まり、様々な対策が今後必須になってくることでしょう。今回はその中でも女性に特化したメンタルヘルスケア対策についてご紹介していきたいと思います。
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メンタル不調者は女性の方が多い
平成26年1月22日の第2回健康づくり推進本部会議によると、気分障害といわれる、うつ病やパニック障害、不安障害等の患者の割合は男性より女性のほうが多くなっています。特に更年期と呼ばれる40代くらいに一番多く、その差が顕著にあらわれています。各年代においても、総じて女性の方が多く、その原因は女性特有のホルモンバランスの変化が原因であるとも言われています。
女性ホルモンとうつ病の仕組み
生理周期などによって、女性ホルモン(エストロゲン)が減少することにより、精神や気分に影響を及ぼす物質であるセロトニンやノルアドレナリンが不安定になっていきます。そうすると、肉体面ではいくら健康であっても、気分面で不調をきたしてしまったりすることが避けられません。
そうした女性特有のホルモンバランスの変化が起きやすいのが主に、産後と更年期の年代に見られ、特に産後に関しては、死に対する思いが強く現れる可能性が高いので、特に慎重なケアが求められます。
体験談
具体的な話として、産休が認めてもらえなかった方の体験談をご紹介します。
扶養枠内でスーパーのパートをしていました。
始めた当初は、夫婦二人で子供がいなかったので、比較的他の子供のいる主婦の方に比べると時間の融通が効くので店長、主任も良くしてくれていましたが
働き始めて2年ほどで、妊娠していることが分かり上司に報告すると、産休の制度があるので利用しますかと言われ、
産休を取る手続きをしました。
妊娠初期は自分もまだ体力的にも楽だったので、以前と変わらず仕事ができていました。
周りの方も気を使ってもらって、仕事も続けることができていました。
上司もできるだけサポートしていくからと言ってくれていたのですが、
妊娠後期に入りお腹が目立ってくると、上司の態度が変わってきて
「産休っていつからでしたっけ」と言ってきて産休の日程を言うと
産休明けのことを急に「ずっとお休みしてもらってもかまいませんから」と言い始めました。
産休に入ったら産休明けはもう出てこなくてもいいという事を言いたかったらしく、
会社では産休制度はあるものの、実際に産休を取るとなるとサービス業では難しいようでした。
はじめから産休は取れないと言ってもらったほうが気分も悪くならなかったのになと思いました。
労災請求
さらに、メンタルヘルスに対する労働者側の意識も変化してきています。精神疾患に対しての知識がある人が増えていて、その原因が企業にあるという事例も年々、増加してきています。実際に、数字の上でも精神疾患が原因での労災申請は毎年、最大数を更新しており、それにつれて労災が認められるケースも増加しています。
一つケアを怠ってしまうと、死の危険性すらある女性のメンタルヘルスケアというのはより急務であるともいえるでしょう。
女性活躍推進法
メンタルヘルスケア対策からの課題だけなく、女性活躍を社会的に後押ししていこうという動きもあります。
平成27年8月の参議院本会議で、女性の職場における活躍を推進する『女性活躍推進法』が可決され、今年の4月1日に施行されました。
この法律は301人以上の労働者(契約社員、アルバイトなどを含む)がいる会社には適応され、300人以下の企業に関しては努力義務ということになっています。その企業に対しては以下の3つの事柄が求められています。
- 自社の女性の活躍状況の把握・課題分析
- 行動計画の策定・届出
- 情報公開 など
こうした法案が可決していることを考えると、より一層の女性の活躍推進とメンタルヘルスケア対策というのは切っても切り離せない話になってくるでしょう。
女性のワークライフバランス
こうして、女性を活躍させていくと女性のワークライフバランスというのも大きな課題の一つして浮かび上がってきます。女性の働き方は多様化していき、そのライフステージ(結婚、妊娠、出産、子供の成長度合い)などによって、様々な対応が会社には求められてきます。現在では、出産などを理由に退職をしてしまう可能性などから、女性の正規雇用の人数が少ないですが、労働者自体の数が減少していくこれからの日本においては、女性のワークライフバランスを保証し、会社に残ってくれる人材を一人でも多くしていくのがよいのではないでしょうか。
問題点
ここでまた問題として現れるのが、妊娠と仕事の関係です。妊娠というのはかなり肉体的にも精神的にもデリケートな問題になってきます。女性労働者にとって負担が大きいとされる作業内容は主に以下の6つとしてあげられます。
- 1.重量物を取り扱う作業 継続作業:6~8kg 断続作業:10kg以上
- 2.外勤等連続的歩行を強制される作業
- 3.常時、全身の運動を伴う作業
- 4.頻繁に階段の昇降を伴う作業
- 5.腹部を圧迫するなど不自然な姿勢を強制される作業
- 6.全身の振動を伴う作業 他
女性が働きやすい会社は男性も働きやすい
ここまで主に女性の問題をご紹介してきましたが、一般的に女性が働きやすい会社、職場というのは男性も働きやすいとされています。女性が社会進出してくるにつれて、男性にも家の仕事というのはどんどん増加していきます。女性にばかり気を使っていて、男性社員がどんどんボロボロになっていってしまっては元も子もありません。
社員全員が働きやすい会社や職場づくりを行っていくことの目安として、女性を基準に合わせて考えてみるというのがよいでしょう。