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若手社員のメンタルヘルス事情 ゆとり世代のうつ病

2016/10/19 企業におけるメンタルヘルス
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ゆとり世代の弱さの謎

ゆとり世代の社員は飲み会にも来なければ不条理に弱い。挙句の果てには権利を主張する。

このような事例があちこちで発生しています。統計データを見ても、3割の新入社員が辞めている状況に加え、20代の4割以上が非正規雇用です。人づてに聞く話でも想像に難くない現状であると思います。

こうした現状になっているのにはたくさんの原因があります。いわゆる、ゆとり教育の問題だとされていますが、ゆとり教育を良しとする社会的な背景もあると考えられます。

ゆとり教育とは「無理をさせない」教育

水を飲まないでスポーツをする、教師からなぐられるのは当たり前、そんな状況であった日本から、まさに逆になったかのように、水分補給は当たり前、体罰は刑事事件というように変化してきました。

実はこうした話というのは、見えている教育現場の一部であって実際は無理はさせない、危険なことなんて絶対させないというのが今の教育方針になっています。

飲み会などで無理をしてでも先輩に付き合うというような発想は善ではなく、むしろ、悪。評価されない価値基準となっています。

そんな環境で育ってきた若者が突然、悪とされているものが当たり前の環境に入ってしまったらどうでしょうか。3割位は辞めていく、もしくは最初からそのステージにはあがってこない。というのは考えられる話です。

就活意識の変化「キャリア教育」

現在の就職活動の実態は、長期的なキャリア構成を見据えて行われています。自分が実現したいことがあるから、その企業に属して、そのために働くというのが基本的な発想になっています。就職活動のときに、そこまでのことを意識していないと就職できないのが今です。

そのため、若手というのはもちろん、企業がそこまでのことを求めてくるのだから、それに見合う何かはあるんだろうなという姿勢になって会社に入ってきます。しかし、実際にはいろんなキャリアを積ませると言って、様々な体験をさせて、その上で人事の都合で様々な部署に配属されます。

個人と会社にミスマッチが起きてしまえば、他にやりたいキャリアを実現してくれる会社はたくさんあるので若手社員はすぐに辞めて、直接、自分のやりたいキャリアを詰める会社に移動します。

このズレが「新型うつ」の正体

このように若手社員と企業側にいる人の考え方というのはまるで異なっています。想像しづらい場合は、気まずい親族の家庭にいるようなことを想像してください。

一刻も早くその場から立ち去りたい、気まずくてしょうがないからなんとかしたいと考えるでしょう。

この気まずさに適応できず、抑うつ状態になってしまうのが「新型うつ」や甘えと呼ばれてしまう話の根本です。

その場が気まずいだけなので、もちろん、他の環境に行ってしまえば元気になります。気まずい親族の家から出れれば元気になるのと同じです。

ここで一つ実際にあった体験談をご紹介しましょう

話が違うから辞めてしまう側の気持ち

ある雑貨店にアルバイトとして入ったときのことです。正社員への道も可能とのことで、それを目指していました。
入社した途端に人手不足だと聞かされ、休みをとることに大変厳しかったです。病欠した日にも会社から電話が入り、お昼ごろでしたが、「病院に行って、来られたら今からでも来るように」と言われました。最初は右も左もわからないので先輩上司に教えてもらいたいことだらけですが、なにせ人手不足で新人に教えている時間もないらしく、ほとんど放置されていました。何もできないもどかしさと、こんな感じで過ごしていて本当に正社員になれるのかと不安で仕方なかったです。

そのくせ最初から「あなたも頭数に入っているから休まれると困る」とプレッシャーだけはかけられました。聞きたいことがあって聞こうとすると「今忙しいから他の人に聞いて」と時間もとってもらえませんでした。接客業だったので、客の相手をしているときでないのなら時間をとってくれてもいいのでは、と不満でした。何も教えてくれないし、聞いてもスルーするくせに説教だけはわざわざ近づいて来てしてきました。「家で鏡の前で笑顔の練習をするように」と。放置され、不安だらけなので、通常の精神状態ではありません。それで笑顔だけはつくれなど、無理がありすぎる、理不尽すぎる、人をなんだと思っているのだ、と憤慨した思い出です。

人は機械ではありません。新人をきちんと育てる気持ちがあるならもっと違う対応になるだろうし、そうすれば新人の方だって笑顔くらい注意されるまでもなく自然と出るものだと思います。結局は人を使い捨てとしか見ていないということでしょう。その店舗は私の入社後数年でつぶれました。既に私は辞めた後でしたが、そもそも最初から私が正社員になれる道などなかったということでしょう。

若手を育てる意識が必要

このように、存在を無視するかのような扱いをすると今の若手社員はダメになってしまいます。この話では、辞めたあとに特別問題は起きていませんが、今後、このようなことをした上司がいた場合、ハラスメントとして訴えられてしまうということは今の社会の流れからすると自然なことでしょう。

おそらく、この話に出てきた上司の方もハラスメントをするつもりはなかったのでしょう。しかし、実際は世の中的にハラスメントと言われてもおかしくはない事が起きてしまっています。

逆に言うと、仕事の内容をきちんと教えてあげさえすればきちんと動ける教育を受けてきているのです。

自分で考えて自分で行動できない世代と言われていますが、動けるように教育できれば素直に順応していける世代とも考えられます。

もちろん、会社は教育機関ではないので、0から教える義理はありません。しかし、同業他社にきちんと0から教える魅力的な企業が現れたら?若手社員が0になってしまったら?おそらく、今のポジションというのはかなり危ういものになってくるでしょう。実際に、今の若手世代はそういう企業にシフトしつつあり、企業の大きさよりもそういう環境かどうかを非常にシビアに見ています。

 

このように考えると、教育するのも「仕事」のうちということになります。

もちろん、ここでハラスメントするような厳しい叱責などで教育してしまっては意味はありません。むしろ、逆効果とも言えるでしょう。何度も言いますが、価値観が逆の人が相手です。

世代の特徴として、承認されることへの欲求が極端に強いです。なので、しっかりとできるところから褒めるようにして育てていくのがよいでしょう。

そして、指示は「具体的」に。料理できない人に向かって、肉じゃが作っといてと言っても作り方を調べることはできるかもしれませんが、何が醤油で、どれが肉かわからないのと同じで、わかることがないことには動き出せません。

とても今までの仕事の内容とは違って手間をかけていられないと思うかもしれません。そんなときは無理をせず、世代の近い人同士を先輩後輩として配置することによって、世代のズレがないような相互関係を築いていけるシステムを作るのが良いでしょう。

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