あなたの会社にもいるかもしれないメンタルヘルスケアの専門家
メンタルヘルスケアと社会の視線
とうとう、労働基準法違反で某広告代理店が書類送検される事態にまでなりました。
来年から残業時間が80時間を越える企業は積極的に公表されていくという話も出てきました。労働環境に対する社会の目というのは今後ますます厳しくなっていくでしょう。
そんな中で、あなたの会社でもしテレビでもてはやされるくらいのかわいい子が精神疾患で、、、なんていう話も遠くない未来に起こるかもしれない話になってきました。
過重労働による労災は数字がはっきり出ているため、言い逃れできない数字の一つになります。一方で、時間以外の労働環境というのは定量化しにくいため、よほどのことがない限り過失は認められない現状があります。
しかし、強いストレスが職場にあったとされる基準は厳しいものではありますが、今後の裁判の結果次第でその基準は大きく変わってくる可能性もあります。実際に、自閉症スペクトラムを持った方が自殺したことへのストレス認定が低いレベルだったため、労災が認められないという判定に対して、裁判が起きていたりもします。
こうした動きがある中で、ストレスなどのメンタルヘルスの分野において法律が守ってくれているから何も対策しなくてもいいというのは少し危険の考えであるといえるでしょう。
簡単にできる職場環境のチェックリスト
そんな職場環境をまずは再認識するために、厚生労働省が出しているチェックリストを使って社内の職場環境をチェックしてみましょう。
http://www.tmu-ph.ac/topics/stress_table.php
職場環境を考え直す上で
チェックリストをやってみることでよいところ、悪いところいろいろ出てきたかと思います。
そこで、早速、悪かったところを改善していこうというのは悪くはないのですが、改善の方向性について少し考えてみましょう。
闇雲に、原因対処という方向で考えていくとどうしても個人攻撃になってしまって、少し高圧的で攻撃的で理解のない人を排除していこうという動きになってしまいます。しかし、それでは表面的には解決しているかもしれませんが、反対のベクトルの抑圧が働いてしまっていて、ただ単にそういう性質がある人がむやみに排除されていく職場ができてしまっています。
メンタルヘルスケアの専門家は経験者
そこで、改めて、職場として、会社の方針として、どういう職場環境であれば一番良いのかを考えてみるのが良いでしょう。
全員が全員でメンタルヘルスケアに対して積極的に関わっていく必要はありません。極端な話、直接のケアの部分は外注してしまうという方法もあります。
実際は予算の関係でそれは難しいというところもあるでしょう。そうなるとやはり、今ある会社の人材でなんとかしていかなければなりません。
そこでメンタルヘルスケアの現場において、非常に重要になってくるのが経験者の話になります。身体の病気とは違ってくるので、頭ではわかっていても、まるで理解できない可能性があるのが心の病です。「家に帰って、寝る以外の行動をすると明日に響くかもしれないから何もできない」みたいな感覚というのは、一度経験したことある方ではないときちんと理解できるものではないです。
こうした経験があるからこそ、今の環境においてどういう風に変化してくれるとうれしいのか、復職時の対応の仕方や、緊急時の対応など、専門家ですらわからないかもしれないその職場、会社限定の対応を考えることも可能です。
さきほど、理解できない人を否定しなかったのも、わかるかわからないのかの問題なので、そこの価値観のどちらかを尊重してしまっては、メンタル不全経験者(ピアカウンセラー)の存在と矛盾したものになってしまいます。
わからないものを無理に理解しようともせず、否定しようともせず、適材適所に人材を配置していける職場というのがすべての人にとってよい会社の可能性の一つなのではないでしょうか。